ELPACって何!?その2 サンプル問題付きで徹底解説!~summative ELPAC編~

アメリカ学校

ELPACとは、カリフォルニア州の学校に通う、英語が母語でない子どものための「英語能力試験」です。

ELPACは、入学時に一度だけ受けるInitial ELPACと、年度末に毎年受けるSummative ELPACの2種類があります。

本記事では、年度末に毎年受けるSummative ELPACのすべてを解説します。子どもたちの英語の成長を確認できる機会であり、次年度に受けられる授業やサポートに影響する大事な試験なので、本記事を読んでしっかり理解しましょう。

ELPACの目的

ELPACとは、English Language Proficiency Assessments for California の略です。母語が英語以外の生徒が必ず受験する「英語能力試験」のようなものです。試験の点数が基準点以下であれば、EL(English learner)と判断されます。ELと認定された場合、学校でさまざまなサポートを受けることができます。

ELPACは、カリフォルニア州の試験ですが、他州でも同様のテストが行われます。様式は多少異なりますが、英語の能力を判定するという趣旨は同じなので、カリフォルニア州以外にお住まいの方も本記事が参考になると思います。

ELPACには2種類あります。入学時に一度だけ受けるInitial ELPACと、年度末に毎年受けるSummative ELPACです。以下では、一度だけ受けるSummative ELPACについて詳しく紹介します。サンプル問題もありますよ!

Initial ELPACについては、こちらで解説しているので合わせて読むと、全体像がつかめます。

Initial ELPACを徹底解説

どんな人が受けるの?

Summative ELPACを受験するのは、以下の条件すべてに該当する人です。

  • カリフォルニア州の公立学校に在籍するTK(年中)から12年生までの生徒。
  • 前回受けたELPAC等でEL(English Learner)の判定を受け、卒業(Reclassified)していない

いつ受けるの?

Summative ELPACは、年度終わりごろに受けます。CDE(カリフォルニア州教育省)のサイトによると、2月1日~5月31日まで受験できるとのことでだいぶ幅がありますね。ちなみに、我が家の子どもたちは、4月上旬~5月中旬に受けました。

我が家の場合、1月下旬に、「2月1日から5月31日までに受けます」という通知をスクールディストリクトから受け取り、後日、学校からも「4月xx日以降に受けます」と連絡がありました。実施した旨の連絡は来ませんでしたが、テスト受験の数日後に、学校のポータルサイトのマイページに結果が掲載されていました。

どこで受けるの?

Summative ELPACを受ける場所は、お子さまの通う学校です。受験者数が少ない地域では、学校外の会場が用意されるかもしれません。

我が家の場合は、授業中に一人ずつ呼び出されて別の教室に連れて行かれて試験を受ける、試験が終わると授業に戻るという流れだったようです。

試験問題のサンプル

試験は、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4技能が出題されます。

試験のサンプルは以下の通りです。学校の授業でのサポートが必要かを測る試験なので、学年相応のアカデミックな用語も問われます。

このサンプル試験問題は、以下のサイトでも確認できます。

ELPAC Starting Smarter – English Language Proficiency Assessments for California

こちらのサイトでは、学年ごと、技能ごと(口頭(Oral)または筆記(Written))にサンプルが表示されるので、お子さまと一緒に確認してみてはいかがでしょうか。なお、TK(年中)の生徒はKindergarten(年長)と同じ試験を受けますので、学年を入力する際は、”Kindergarten”を選択しましょう

試験の受け方

試験は基本的には対面で行われ、TKから1年生は試験官と1対1、2年生から12年生はスピーキング以外は1対1または少人数のグループで、スピーキングは1対1で行われます。試験官は非英語話者の扱いに慣れているので、リラックスさせるよう配慮してくれ、楽しい雰囲気を作ってくれます。

学年技能試験官一人あたりの受験者数
TK~1stすべて1人
2ndライティング1人または少人数グループ
上記以外1人
3rd~12thスピーキング1人
上記以外グループ
▲ 学年別の試験官一人あたりの受験者数

基本的には、PCを用いて回答を入力したり音声を録音したりします。ただし、TKから2年生は、ライティングは紙を用いて行います。

PCの操作についてはサポートがあるので、低学年でも大丈夫です。

学年技能テスト形式
TK~2ndライティングpaper-pencil
上記以外computer-based
3rd~12thすべてcomputer-based
▲学年別テスト形式

試験結果を見てみよう!

試験結果は、スクールディストリクトのマイページなどを通して、オンライン上で閲覧できます

試験結果を見ると、得点やLevelが分かります。以下は2022年時点でのEL(English Learner)の判定表です(2024年時点で公式サイト最新版)。

総合得点(Overall Score)でLevel4がとれたら、EL卒業(reclassified)の可能性があります。Level13であれば、来年度のELPAC受験まではELのままということになります。

注意しなければならないのは、総合得点でLevel4が取れていても、必ずしもEL卒業とはならない点です。総合得点がLevel4であることはEL卒業の要件の一つですが、EL卒業のためには、他の要件(授業中に行われるアセスメントや先生の判断など)も満たす必要があります。

総合得点がLevel4なのにEL卒業の連絡が来ない場合は、担任の先生にどの要件を満たしていないのか確認してみましょう。

また、ELと判定されたからといって、悲観することはありません。ELPACの試験結果が子どもの英語力のすべてを表しているわけではありませんし、試験では測れないわが子の成長もあるはずです。ただ、せっかく受けたテストですから、お子さまと一緒に試験結果を見て、話しあう機会を持つことをお勧めします。

話し合いのポイント
  • 一年間の労をねぎらう
  • 前回の試験結果と比べて伸びたところ、伸びなかったところの確認
  • 今年度伸びた(伸びなかった)理由を考えさせる
  • 来年度の目標とする姿を想像させる
  • 目標に到達するために習慣とするべきことを考えさせる

ELのメリット、デメリットについては、こちらで解説しているので参考にしてください。

対策は必要?

ELPACを受ける前にどんな対策をしたらよいのでしょうか。結論から言うと、対策は不要です!

試験の目的は、現時点の英語の実力を測り、どのような配慮が必要かを学校側が認識することです。過去問などで対策をして実力以上の点数をとると、授業などで必要な配慮をしてもらえず、本人が苦しむことになります。

例外として、EL(English Learner)であることで子どもに不利益がある場合(希望する進路に必要な単位がとれない、ESLクラスが本人に合っていない等)以下の対策をお勧めします。

  • 市販のワークブックの活用
    • Amazon.com(amazonのアメリカサイト)で、” ELPAC prep”などと検索すると対策本が販売されてますので、活用するのもよいでしょう。
  • 学校の先生へ相談
    • ELの指導に精通している先生がいれば、相談してみるのも有効です。
  • オンライン英会話の活用
    • スピーキングやリスニングの向上には、ネイティブと話すことが一番です。市販のワークブックを提示して、模擬試験をしてもらうと実践的な対策になるでしょう。

まとめ

以上、Summative ELPACについて詳しく紹介しました。いかがだったでしょうか。この記事が参考になったら嬉しいです。

  • ELPACは、母語が英語以外の生徒が学校生活でサポートが必要か否かを判断する「英語能力試験」のこと。
  • 年度末に毎年受けるSummative ELPACで、総合得点がLevel4に該当する点数の場合、EL(English Learner)を卒業(Reclassified)の可能性がある。
  • EL卒業か否かは、Summative ELPACの総合得点だけでは決まらない(担任の先生の承認なども必要)。
  • Summative ELPACを受ける前に特別な対策は不要。