ELPACって何!? サンプル問題付きで徹底解説!①Initial ELPAC編

アメリカ学校

カリフォルニアの公立学校への入学手続きをすると、「ELPACのテストをするからXX(場所)へ来て。」と連絡が来ます。

ELPACとは、英語が母語でない子どもが学校でサポートが必要か否かを判定する「英語能力試験」のようなものです。

渡米まもない方にとって、現地の小学校、中学校への入学は、最初かつ最大の試練でしょう。子どもたちがスムーズに新しい環境に慣れるために、親として最大限のサポートをしたいですよね。

本記事では、最初に受けるELPAC(Initial ELPAC)のすべてを解説します子どもたちが英語アレルギーを発生しないためにも、本記事を読んで事前の備えを万全にしましょう

ELPACの目的

ELPACとは、English Language Proficiency Assessments for California の略です。母語が英語以外の生徒が必ず受験する「英語能力試験」のようなものです。試験の点数が基準点以下であれば、EL(English learner)と判断されます。ELと認定された場合、学校でさまざまなサポートを受けることができます。

ELPACは、カリフォルニア州の試験ですが、他州でも同様のテストが行われます。様式は多少異なりますが、英語の能力を判定するという趣旨は同じなので、カリフォルニア州以外にお住まいの方も本記事が参考になると思います。

ELPACには2種類あります。入学時に一度だけ受けるInitial ELPACと、年度末に毎年受けるSummative ELPACです。以下では、一度だけ受けるInitial ELPACについて詳しく紹介します。サンプル問題もありますよ!

Initial ELPACを徹底解説

どんな人が受けるの?

Initial ELPACを受験するのは、英語が母語以外TK(年中)から12年生までの生徒でカリフォルニア州公立学校に新たに登録した生徒です。

いつ受けるの?

Initial ELPACの受験タイミングは、以下の2パターンあります。

年度初に入学する場合7月1日以降
年度途中に入学する場合入学してから30日以内

夏休み中は一時帰国するから、指定された日に受けられないよ!という場合でも、日時は調整できるので、問い合わせ先に連絡をしましょう。

どこで受けるの?

Initial ELPACを受ける場所は、お子さまの通う学校または共通の試験会場(主に学区内の学校)です。

受験時期が、入学前(夏休み中)であれば親が指定の場所まで連れて行きますが、入学後であれば、多くの場合は、授業時間中に呼び出されて受験します

授業時間中に呼び出される場合は、「x月x日に受けますよ。」という事前予告がないこともあり、親が知らぬ間に受けていたということもあります。

試験内容は?~ 試験問題のサンプル ~

試験は、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4技能が出題されます。

試験のサンプルは以下の通りです。英語初心者はもちろん、日本で英会話教室に通っていたという子どもでも難しそうな試験ですね。

▲Kindergarten(年長)のリスニングテスト(サンプル)
▲Kindergarten(年長)のスピーキングテスト(サンプル)

このサンプル試験問題は、以下のサイトでも確認できます。

ELPAC Starting Smarter – English Language Proficiency Assessments for California

こちらのサイトでは、学年ごと、技能ごと(口頭(Oral)または筆記(Written))にサンプルが表示されるので、お子さまと一緒に確認してみてはいかがでしょうか。なお、TK(年中)の生徒はKindergarten(年長)と同じ試験を受けますので、学年を入力する際は、”Kindergarten”を選択しましょう

試験は対面で、TKから1年生は1対1で行われます。2年生から12年生は、スピーキングは1対1ですが、スピーキング以外は1対1または少人数のグループで行われます。回答は受験者がPCに入力したり、音声を録音したりして行われます。PCの操作についてはサポートがあるので、低学年でも大丈夫です。試験官は非英語話者の扱いに慣れているので、リラックスさせるよう配慮してくれ、楽しい雰囲気を作ってくれます。私の子ども二人は、それぞれKindergarten(年長)とTK(年中)で受けましたが、PCを触われた!マウスで鬼ごっこをした(?)、またやりたい!と楽しい思い出になったようです。

試験結果を見てみよう!

試験結果は、スクールディストリクトのマイページなどを通して、オンライン上で閲覧できます

試験結果を見ると、得点やEL(English Learner)と判定されたかが分かります。以下は2024年時点でのEL判定表です。Level3に該当する点数がとれていれば、ELではない(IEFP)、Level1またはLevel2であれば、ELということになります。

ELと判定された場合、以下のメリット、デメリットがあります。はじめて入るアメリカの学校ですから、最初はELと判定された方がサポートが受けられて安心かもしれませんね。

English Learner のメリット

  • EL専用のクラスであるELL(English Language Learner)クラス(もしくはESL(English as Second Language)クラス)に入れる。
  • アフタースクールプログラム(放課後学童や補講)やサマースクールに無償または廉価で参加できる。
  • 電子辞書や翻訳アプリを使えるなど、授業やテストで配慮をしてもらえる。

English Learner のデメリット

  • EL専用クラスに在籍していると、ネイティブと同じレベルの授業が受けられないことになります。英語だけでなく他の教科も遅れをとってしまう可能性があります。また、英語の上達にはネイティブとしゃべることが効果的なので、周りの友だちが英語ネイティブでないことは、英語の上達の面ではデメリットとなります。
  • 周りはスペイン語者ばかりで疎外感を味わう、日本人ばかりで固まってしまって英語が上達しないというケースもよく聞きます。
  • 中学生以上になると、ELは選択できない授業があり、希望の進学先に必要な単位がとれないなどで進路にも影響が出る可能性もあります。

対策は必要?

Initial ELPACを受ける前にどんな対策をしたらよいのでしょうか。結論から言うと、小学校への入学・編入であれば、対策は不要です!

試験の目的は、現時点の英語の実力を測り、どのような配慮が必要かを学校側が認識することです。過去問などで対策をして実力以上の点数をとると、授業などで必要な配慮をしてもらえず、本人が苦しむことになります。

そうは言っても、何か対策をしたい!のであれば、あいさつ(Hi!)や自分の名前を言う(My name is xx.)などを練習しておくことをお勧めします。

私の子ども(当時5歳)は渡米前にオンライン英会話(Cambly Kids)をしていて、ネイティブとの会話の経験があったので、スムーズに挨拶をすることができました。ネイティブの話すスピードは、子ども相手であってもとても速いです。

早口でまくし立てられた、英語怖い(涙)とならないように、スピードやリズムに慣れておくのは効果があるかもしれません。

まとめ

以上、Initial ELPACについて詳しく紹介しました。いかがだったでしょうか。この記事が参考になったら嬉しいです。

  • ELPACは、母語が英語以外の生徒が学校生活でサポートが必要か否かを判断する「英語能力試験」のこと。
  • ELPACは、最初に一回受けるInitial ELPACと年度末に毎年受けるSummative ELPACの二種類ある。
  • Initial ELPACでEL(English Learner)と判定されたら、学校生活でさまざまなサポートが受けられる。
  • Initial ELPACを受ける前に特別な対策は不要。