4歳児をアメリカ小学校(TK)へ入れてみた | プリスクールと徹底比較

アメリカ学校
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アメリカでは、5歳で小学校に入学するというのは、ご存じの方もいるかもしれません。しかし、最近はどの州でも4歳から小学校へ入学するように制度が変わってきています。この結果、4歳児は、従来の”プリスクール”(幼稚園)に在籍してもよいし、”小学校”に入学してもよいということになりました

4歳児向けの小学校(TK,Pre-K)は、制度変更の過渡期にあり、最新の情報が少ないので、不安なことも多いと思います。

本記事では、4歳児の息子を小学校(TK)に通わせた経験をもとに、アメリカで幼稚園を探す方に向けて、プリスクールと小学校のどちらを選ぶべきかについて解説します。本記事を読んで、お子さんに合った幼児教育を選んでください!

アメリカの幼稚園の種類

デイケアとプリスクールと小学校

アメリカの幼児(主に3歳~5歳)向けの教育施設は、大きく分けて3つあります。

アメリカの幼児教育施設
  • デイケア (0歳から)
  • プリスクール (2~3歳くらいから)
  • 小学校 (4~5歳から)

このうち、デイケアは、日本の保育園のような性格で、0歳から預けることができます。長時間保育が可能なので、親が共働きや学生の場合は選択肢となるでしょう。本記事では、デイケアを除いた、プリスクールと小学校について、解説していきます

なお、本記事で、「小学校」という場合は、公立の小学校を指すことにします。

年齢と学年の対応

年齢と学年の対応は下表のとおりです。

5歳からKindergarten(キンダー)が始まり、1st、2nd…と学年が上がっていきます。

一方、4歳までは、州やスクールによって呼び方が違うので、アメリカの教育制度に慣れていない方は混乱しがちです。

年齢
(米:9月2日時点)※1
(日:4月2日時点)
日本の学年アメリカの学年
(プリスクール)
アメリカの学年
(小学校)
アメリカ
義務教育
3歳年少PreSchoolなど
さまざま
(設定なし)任意
4歳年中Pre-KTK,Pre-K任意
5歳年長KindergartenKindergarten※2
6歳1年生(設定なし)1st grade義務
日本とアメリカの学年対応表 
※1 アメリカの入学基準月日は、州によって異なる。※2 州による。

3歳児の場合

基準日時点で3歳児の場合、小学校(TK,Pre-K)への入学はできません。

3歳児の幼児教育施設
  • プリスクール

4歳児の場合

基準日時点で4歳児の場合、選択肢は2つです。

4歳児の幼児教育施設
  • プリスクール
  • 小学校(TK,Pre-K)※ 生まれ月によっては入れないこともある

TKとは

小学校のTK(地域によって呼び名は異なる。PreKとも呼ばれる。)とは、プリスクールと小学校のKindergarten(キンダー・5歳児向け)の橋渡しを目的とした4歳児向け幼児クラスです。公立小学校に併設されており、無料で提供されますが義務教育ではありません。

カリキュラムは学区によって大きく違います。Kindergartenと異なり、やることは”学習”というよりは”集団生活スキル”習得がメインです。

もともと、TKは、秋生まれ(生まれ月の早い)の子どものための制度でした。カリフォルニア州では、9/2~12/2時点で5歳になる子が入学できるルールだったのです。ところが、バイデン政権が幼児教育無償化を掲げ、入学可能な生まれ月を拡大する流れが全米で進んでいます。たとえば、カリフォルニア州では、2022年度までは、9/2から翌2/2に5歳になる子どもが対象で、全ての4歳児が入学可となる2025年まで数年かけて、段階的に枠を広げています。

TKへ入学できる子

※ カリフォルニアの場合

  • 2022年度 9/2~2/2時点で5歳になる子
  • 2023年度 9/2~4/2時点で 〃
  • 2024年度 9/2~6/2時点で 〃
  • 2025年度 9/2~9/1時点で 〃

我が子は、TKに入学しましたが、それぞれメリットとデメリットがありますので、後ほど解説します。

5歳児の場合

基準日時点で5歳児の場合も、選択肢は2つです。

5歳児の幼児教育施設
  • プリスクール ※ Kindergartenが義務教育でない場合のみ可
  • 小学校(Kindergarten)

Kindergartenとは

Kindergarten(キンダーガーテン)とは基準日時点で5歳の幼児向けのクラスです。州によっては義務教育ですが、私の住むカリフォルニア州では義務教育ではありません。義務教育ではないといっても、お勉強色は強く、フォニックスやライティングなどを学び、テストもあります。日本の幼稚園年長に相当しますが、「小学0年生」という説明の方がしっくりきます

TKとプリスクールどちらを選ぶか

それでは、4歳児は、小学校のTKとプリスクールのどちらを選ぶべきでしょうか。結論から言うと、「家庭による」です。

以下では、TKとプリスクールの違いや、TKを選んだ我が家の体験談について説明したあとで、TKに向いている子について考察します。

TKとプリスクールの違い

TKもプリスクールも、個々の学校によって制度が異なります。

しかし、両者で明確に違うことが3点あります。

TKとプリスクールの違い
  • 費用
  • 場所
  • 規模
違いTKプリスクール
費用無料有料
場所小学校内独立した施設※1
規模大きい小さい
※1 私立の幼小一貫教育施設を除く

この3つの違いについて、ひとつひとつ解説していきます。

費用

TKは、公立小学校の一部のため、費用が無料です。学用品代、教材費、ランチ代もかかりません(カリフォルニア州の場合)。ただし、我が子のスクールは、寄付金や備品提供を任意で求められることは多く、完全に無料ではありませんでした。

一方、プリスクールは多くが私立であり、高額の授業料が必要です。我が子が以前通っていたスクールは、午前のみ保育を週5日の場合で1000ドルを軽く超えていました。

場所

前述の通り、TKは、小学校の敷地内にあります。このことはメリットもありデメリットもあります。

メリット①:入学時のギャップが少ない

小学校内に併設されているメリットとして、小学校入学のときのカルチャーギャップが少ない点があげられます。新しい場所に慣れるには誰だって時間がかかりますが、幼ければ幼いほど環境に慣れるのも早いものです。TKは、Kindergarten(年長)や1st(小1)よりも先生一人あたりの生徒の数も少なく(先生の割合が高い)、サポートが手厚いです。また、たとえ慣れるのに時間がかかっても、一日の大半を遊んで過ごすので勉強面の遅れを心配することもありません。いつかは小学校に入学するのであれば、低い年齢で入学しておくことが後々の安心につながります

メリット②:年上の児童と触れる機会がある

また、プリスクールでは、最年長お兄さん、お姉さんの立場ですが、TKでは、一番年下です。我が子の学校では、バディ制度があって、月に一回ほど我が子のお世話係となったお兄さんお姉さんが本を読んだり一緒に遊んだりしてくれる日がありました。我が子は、年上の児童と触れることによって、多くの刺激を受けたようでした。

デメリット①:学校行事が負担

欠点として、学校行事などを全校で共有することが負担になる点があげられます。

たとえば、我が子の学校では、月例の全校集会や上級生の音楽発表会など、TKの子も含め、全校生徒が出席する行事がたびたび催されます約1時間、体育館であぐら座りで聞いていなければならない、しかも内容は難しめ、ということで、4歳児にはちょっと退屈だったようです。アメリカでは、4歳児を学校に迎えるようになって歴史が浅い(今までは、入学後数か月で5歳になる子ばかりだった)ので、この点は改善されればよいなと思っています。

デメリット②:遊具が4歳向けではない

校庭は、小学部(1st以上)と幼稚部(TK、Kindergarten)で場所が分かれており、遊具の高さや種類も異なります。しかし、幼稚部の校庭の遊具は、プリスクールのものよりは、レベルが高く(もともとKindergarten(5歳児)向け)、4歳児にはちょっと危ないような気もしました

もちろん、運動が得意なお子さんであれば、ハイレベルな遊具があることはメリットかもしれません

デメリット③:休み時間の体制が弱い

日本の小学校では、休み時間や給食時間も先生がそばにいて、時には遊びを主導してくれると思います。

しかし、アメリカの小学校では、休み時間は先生にとっても休み時間です。教室は鍵を閉められ、休み時間中は教室内に入ることができない徹底ぶりです。我が家の学校では、校庭には、監視係のスタッフが数人いますが、人数も少なく、十分に機能していませんでした。

友だちとのトラブルの多くは、休み時間に起きます。何かトラブルが起きても、先生は目撃していないし、子どももうまく説明できないということで、親としてモヤモヤすることが多かったです

規模

TKもプリスクールも、法律で定める先生と生徒の比率は、ほとんど変わりません。しかし、実態として、プリスクールには、4歳児や5歳児は少ないです。理由は、多くの家庭が無料のTKやKindergartenを選ぶからです。

4歳児は、お友達と遊ぶことに興味を持ち始める時期です。今までの、大人との一対一での遊びやお友だちとの並行遊び(同じ場所で同じ遊びをしているけど、友達と関わっている様子はない)を経て、いよいよお友だちと積極的に関わるようになります。お友だちと関われば関わるほどケンカなどのトラブルもある、厄介な年齢ですが、そういったトラブルも子どもにとっては貴重な経験でしょう。

人数が多ければ、クラスメートの”多様性”も豊かになります。私立プリスクールから公立小学校に進学した我が子は、公立の”やんちゃさ”が水に合ったようです。スーパーヒーローごっこを楽しみ、毎日を楽しく過ごしています。

我が家がTKを選んだ理由

以上のような特徴のあるTKですが、我が家の息子は4歳の新年度からTKに入学しました。慣れ親しんだプリスクールから離れることは親子ともに葛藤がありました。それでも、TKを選んだのは以下の理由からです。

TKを選んだ理由
  • 無料だから
  • 上の子と同じ学校だから
  • 集団生活を経験させたいから

理由1:無料だから

我が家にとって、これが一番の理由でした。日本では3歳児から幼児教育無償化ですよね。羨ましいです。

理由2:上の子と同じ学校だから

送迎スケジュールや学校行事などが一緒だと、親も色々と楽です。子どもも姉が在籍している学校に憧れがあるので、最初から喜んで登校していました。

理由3:集団生活を経験させたいから

我が子はTKに通い始める前の年までプリスクールに通っていました。しかし、通っていたプリスクールでは、TKの入学資格がある子は、ほとんどがTKに入学するようでした。そのまま在籍すると同年齢の子どもと過ごす機会が少なくなり、わが子にとってベストな環境ではないと感じました。

実際、TKに入学してみると、性格も体格も得意なことも違う、多種多様な子どもたちと触れ合うことができました。その中で我が子は、ケンカや仲直りを繰り返して、気持ちのコントロールの仕方、主張の仕方などを学びました。

TKに向いている子はこんな子

息子は、TKが合っていたなと感じますが、TKに向いている子はどんなお子さんでしょうか。

TKに向いている子
  • 体格が日本の標準以上
  • 主張が強い性格
  • 環境に慣れるのに時間がかかる性格

体格が日本の標準以上

学校にもよるのですが、我が子の学校はKindergarten(5歳児)向けの教室や園庭を使用していました。その結果、身長が決して大きい方ではない我が子にとっては、園庭の遊具やトイレが使いにくそうでした。

主張が強い性格

前述の通り、我が子の学校は、休み時間やランチの時間は先生の付き添いがありませんでした(新年度始まってしばらくは先生も付いていましたが、すぐにいなくなりました)。何か困りごとが起きたときに先生以外のスタッフにも相談できる性格の子どもだと安心です。

英語がしゃべれるかは問題ではなく、泣く、日本語で訴えるなどの手段でもよいので、周りの大人に「主張」できることが大事だと感じています。

逆に、我慢してしまったり、主張できないタイプの子の場合は、親が先生とコミュニケーションを密に取り合うようにするとよいと思います。

環境に慣れるのに時間がかかる性格

新しい環境に慣れるのに時間がかかるタイプの子どもにもTKでの入学が向いています。というのも、TKはKindergartenとプリスクールの橋渡しの役割をもっているからです。顔見知りの友だちを作っておくことは、Kindergartenへの進級ギャップを少なくするために有効です。

我が子の学校では、TKだけは、担任の先生が2人体制(1人は有資格者、1人はサポート)で、Kindergarten以降は1人体制でした。Kindergartenよりも手厚いサポートを受けられるTKで環境に慣れるのはよい作戦だと思います。

まとめ

以上、アメリカの幼児教育やTKとプリスクールの違いと共に、わが子をTKに入れた体験談について、説明しました。この記事がアメリカの幼児教育を検討している方の参考になれば幸いです。

まとめ
  • TK、プリスクールどちらを選ぶべきかは家庭の方針や子どもの性格により異なる
  • TKは、制度過渡期のため、4歳児に向かないこと(行事、遊具・トイレ)もある
  • 公立の小学校に4歳で入れると考えると抵抗があるが、環境やサポートは小学1年生と比べると手厚いので過度に心配しなくてよい
  • 子どもは適応力があるので、どちらを選んでもきっと素敵なスクールライフが過ごせるはず