幼児期を海外で過ごすお子さま必携! | 七田式プリント

日本語教育

幼児期を海外で過ごす場合、家庭での日本語教育がとても大切です。なぜなら、幼児期は、日本語を覚え、言葉を通じたコミュニケーションを学ぶ大切な時期だからです。我が家では渡米前に『七田式プリント』をまとめ買いしました。この教材のおかげで、毎日楽しみながら日本語学習ができているので、まとめ買いは大正解でした。本記事では、実際に『七田式プリント』を使用した感想や効果的な使い方などをご説明します。本記事が、幼児期を海外で過ごすお子さまをもつご家庭の参考になれば幸いです。

『七田式プリント』とは

特徴

『七田式プリント』は、右脳教育で有名な七田式の定番プリント学習教材です。幼児教育、知育に関心のある親御さんであれば、一度は聞いたことがあるかもしれません。

  • 「ちえ」「もじ」「かず」の3部構成で、幼児期に身につけたい力をまんべんなく身につけることができる
  • 所要時間は、1日3枚15分と、幼児でも負担なく進めることができる。
  • ボリュームがあり、1枚当たりの単価が比較的安い(1セット(約1年分)720枚) 
  • 400%学習(似たような問題を4回繰り返すことのできる設計のため復習が不要)

対象年齢

『七田式プリント』はA~Dの4シリーズ発売されています。それぞれの対象年齢は以下の通りです。

製品名対象年齢スタートの目安
プリントA2歳6か月~4歳
  • 鉛筆が持てる
  • 〇×が書ける
  • 点と点を線で結べる
  • 大小、長短が分かる
プリントB3歳6か月~5歳
  • ひらがながすべて読める
  • 10までの数の大きさがわかり、書ける
プリントC4歳6か月~6歳
  • 答えが10までの足し算ができる
  • ひらがなや簡単な単語が書ける
  • 身近な形容詞が書けて、助詞がわかる
プリントD5歳半~就学前
  • 一般常識や社会のルールを理解し、善悪の判断ができる
  • 擬音語、擬態語、形容詞などを使って簡単な文が作れる
  • 100までの数がわかり、20までのたし算・ひき算ができる
https://www.shichida.com を元に筆者が作成

海外子女におすすめの理由

海外で幼児期を過ごすお子さまに『七田式プリント』がおすすめの理由は以下の通りです。

海外子女(幼児)におすすめの理由
  • 日本語を育てることは、家庭の役割
  • 幼児はあっという間に日本語を忘れる
  • 海外では幼児教育の情報が入りにくい
  • 日本語を嫌がる前に習慣化できる
  • 海外子女は忙しい、親も忙しい

日本語を育てることは、家庭の役割

母語である日本語が確立する前の幼児期を海外で過ごす場合、家庭における日本語教育の役割がとても大切になります。海外、特に英語圏で生活すると、親は英語の習得に力を入れがちですが、英語を上達させるためにも母語である日本語を育てることが不可欠です。

バイリンガルの基礎づくりでいちばん大事な家庭の役割は、第2、第3のことばの基礎になる母語、すなわち第1のことば(L1)をしっかり育てることである。

出典:『バイリンガル教育の方法完全改訂版 12歳までに親と教師ができること』

このように母語は(1)子どもの社会性の発達のためにも、(2)情緒面の発達のためにも、また(3)知能の発達のためにもなくてはならないものである。つまり、母語は子どもが社会的、文化的、知的存在になっていくために欠かせないツールであり、人間形成全体の基礎になるものである。

出典:『バイリンガル教育の方法完全改訂版 12歳までに親と教師ができること』

母語の基礎が完成する2歳から4、5歳の間に母語のノーマルな発達が阻まれると、言語発達全体が遅れてしまい、2言語環境の犠牲者になる可能性がある。そのなかでも、2歳から4、5歳までの幼児がいちばん危険率が高い。

出典:『バイリンガル教育の方法完全改訂版 12歳までに親と教師ができること』

幼児期に母語が育たないことの危険性については、こちらの本に詳しく書かれています。具体的な注意点や事例なども書かれており参考になります。

幼児はあっという間に日本語を忘れる

我が家の子2(男)は、3歳でプリスクールに入学し、1か月して「ぞうさん」「りんご」「黄色」など基本的な日本語を忘れました。「elephant」「apple」「yellow」などキレイな発音で言えるようになり、親も「すごーい」と感動して褒めたたえていたのですが、肝心の日本語が消えていたのです。

我が家の場合は、日本人が多い場所に住んでいたので、日本人の友だちも多かったのですが、英語も理解できる方も多く、息子の覚えたての英単語も理解してくれました。この結果、息子の中では日本語の必要性が低くなったのだと思います。

息子のように極端ではなくても、幼児期の場合、日本語を保持するだけでなく、年齢相応に上達させていく必要があります。

日本では、家庭だけでなく、幼稚園の先生や道端で偶然出会ったおばちゃんを通して日本語に触れることができます。看板や駅の広告などから文字を学ぶこともできます。外にいると、当然、こういう機会はめったにないので、親が日本語を教えていくとともに、日本語の環境を意識して用意する必要があります

海外では幼児教育の情報が入りにくい

日本語を育てるのは親の責任とはわかっていても、親は幼児教育や日本語教育のプロではありません。わが子の日本語が怪しいと気づいても、日本にいる時のように書店でワークブックや教材を手にして選べません。相談できる専門家の先生も身近にいません。

その点、『七田式プリント』は、幼児期に身につけたい力をまんべんなく身につけることができると謳っているので、難しいことを考えずにすみます親がやることは、一日3枚15分の時間を確保すること、褒めるなど習慣化の仕組みを作ることだけです

さらに、『七田式プリント』は、1セットに720枚(10か月~1年分)も入っており、市販のワークブックのように「すぐ終わってしまって、次のワークを探す」という手間も不要なのがありがたいです。

日本語を嫌がる前に習慣化できる

海外で暮らすようになって数年たつと子どもは英語が優位になってきます。すると、日本語の学習を嫌がる可能性があります。しかし、七田式プリントはフルカラーで難易度もバランスがとれているので、わが子は喜んでやっています。親がプリントを出し忘れていたりすると、「プリントやりたい!」と言ってくるほどです。やはり習慣づけで大事なのは、毎日決まった時間に短時間でも行うことなので、毎日続けやすいということは重要なポイントです。子どもにも負担が少ないので、ちょっと疲れているときでも、すぐに終わると思えば机に向かいやすいですね。

渡米から2年ほどで、息子は完全に英語優位になり、動画は英語で見たがりますし、日本語の会話は同年齢の子どもより低いと思います。しかし、『七田式プリント』のおかげで、5歳時点でひらがな、カタカナの読み書きは完璧です。語彙も少しずつ増えてきました。『七田式プリント』では、「400%学習」といって、似たような問題が繰り返し出題されるのですが、以前できなかった問題ができるようになっていく姿は親としてうれしい限りです。

海外子女は忙しい、親も忙しい

日本の親子も忙しいと思います。しかし、日本と異なり、兄弟の学校や習い事への送迎に付き合わされたり(小学生はもちろん高校生でも送迎が必須)、熱心なプリスクール(幼稚園)では、日々の宿題や読書が課されていたりします。さらに、親も、慣れない英語での学校との連絡、行事の確認など、一つ一つに時間とストレスがかかります

その点、1日15分、3枚だけでOKなので、とても取り組みやすいです。(ただし、A→B→Cと進むにつれて15分で終わらないことも増えてきます。)

『七田式プリント』が向かない人

我が家では大活躍した『七田式プリント』ですが、以下のようなご家庭には合わないかもしれません。

『七田式プリント』が向かない人
  • 自分で子どもにあった教材をセレクトしたい方
  • 帰国後に小学校受験を目指している方
  • 一括購入に抵抗がある方

自分で子どもにあった教材をセレクトしたい方

『七田式プリント』は、親が幼児教育に詳しくなくても、幼児期に必要な分野をまんべんなく網羅しているのが特徴です。逆に言うと、得意な分野や強化したい分野や、やらせたくない分野がある場合は向きません

たとえば、小学校入学まであと3か月というときに、入学までにひらがなを書けるようにしたいと考えたときには、『七田式プリント』より市販のひらがなワークブックを集中的にやった方が効率的です。

また、『七田式プリント』は非常にバランスのとれた教材だと感じていますが、幼児期は発達に個人差がありますし、育った環境によっても得意/不得意が分かれるので、わが子の発達に合わせてカスタマイズしたいという場合も向きません。

たとえば、息子の場合、迷路が得意だったので、『七田式プリント』の迷路の問題は簡単すぎて手ごたえがなかったようです。反対に、ものの名前を答える問題は苦手でした。

このため、我が家では、高度な迷路のワークを一時帰国の際に調達して、『七田式プリント』と併用しました。また、苦手な「ものの名前」については、意識的に日常生活でものの名前を教えたり、クイズを出したりしました。

このように、我が家では、『七田式プリント』と併用してプラスアルファの学習を行うようにしました。一方ですべてをわが子に合わせて教材を選択できる方は、『七田式プリント』は使う必要がないかもしれません。

帰国後に小学校受験を目指している方

『七田式プリント』では日本の小学校受験のペーパー試験で出題されるような問題も多数あります。ただし、試験で確実に正解を出すためには、演習量の面でも難易度の面でも、不十分かもしれません

逆に、『七田式プリント』の取り組み方を観察して、わが子が小学校受験に向いているか否かを判断するという使い方はよいと思います。小学校受験に向いていると判断したら、別のペーパー対策ワークに切り替える、向いていないと判断したら、『七田式プリント』を継続する、という感じです。

小学校受験を視野に入れて海外に渡航するのであれば、こぐま会の『ひとりでとっくん365日』が系統だって学習できるのでおススメです。他にも理英会の『単元別ばっちりくんドリル』もいいですね。

一括購入に抵抗がある方

『七田式プリント』は、一枚当たりの値段で他の教材と比較すると、非常にお買い得です。ただし、1冊ずつの購入ができず、最低でも1セット単位での購入が必要です。つまり、3分野(もじ・かず・ちえ)× 10冊 を一括購入する必要があります。さらに、このセットがA~Dまであるので、海外渡航前に一括で購入すると、お値段も量もそれなりのものになります。

我が家は、トータルのコストと教材選択の手間を考えて、A~Dまでのセットを一括購入しましたが、少し躊躇したことは事実です。『七田式プリント』は一枚一枚はがして使用するタイプのプリントなので、兄弟間で使いまわせるところも購入の決め手でした。

我が家の進めかた

取り組み期間

『七田式プリント』は、A~Dまであり、段階的に難易度があがっていきます。このため、いつ、どのプリントから始めるか悩む方も多いと思います。ご参考までに我が家での取り組み期間を公開します。

子どもプリント種別取り組み時期所要期間
子1(女)プリントC5歳8か月
プリントD5歳~6歳13か月
子2(男)プリントA3歳半~4歳12か月
プリントB4歳~5歳10か月
プリントC5歳~継続中
我が家の取り組み期間
七田式プリントA
七田式プリントC

進め方

ゆっくり、楽しく、嫌がるようならお休みする

我が家は小学生受験の予定もなく、明確な目標もなかったので、プリントを早く進めることより、楽しみながら学ぶことを意識していました。

我が家の子2(男)は、少しレベルを下げて、2歳半から始められるプリントAを3歳半から始めました。上述のように七田式公式サイトでは始める目安のスキルも明記されています。我が家では、その目安のスキルを楽々と使いこなせるようになってからスタートさせました。

その結果、運筆などお遊びの延長のようなプリントを通して「プリント=楽しい時間」という刷り込みに成功しました。

それでも、時々つまづくこともあり、投げ出してしまうときもありました。そういうときは、少しプリントをお休みして(「ちえ」でつまづいたら、「ちえ」はお休み、「もじ」「かず」は続ける)、日常の中で、つまづいた問題に関連する話題をふったりして実生活で鍛えてからプリントに戻るようにしました。

環境が変わるタイミングで始めない

我が家の子1(女)は、日本にいるときからスタートさせ、リズムを作っていたため、渡米後のドタバタの中でも抵抗なく継続できましたプリントをスキャンしてPDFにしておくと船便到着を待たずに進められるので便利です)。渡米直後は、環境の急激な変化に戸惑うことも多いので、日本でやり慣れたことをアメリカでも継続するというやり方は本人の心の安定にも効果があったように思います。

子2(男)は、プリスクールに通い慣れて日本語を忘れかかってきた頃に始めました。新しい環境に入った直後は親も子も余裕がないので、落ち着いたタイミングで始めると、ストレスなく進められるのでよかったです。

まとめ

いかがだったでしょうか。最後にまとめを表示します。この記事が、幼児期に海外を過ごすお子さまの教育をお考えの方の参考になれば幸いです。

まとめ
  • 『七田式プリント』は、1日3枚15分で幼児期に必要な知識をまんべんなく学べる幼児向けプリント
  • 海外子女の日本語教育は家庭がすべてであり、『七田式プリント』は心強いパートナーになる
  • 幼児教育に強い信念、明確な目標がある場合は、『七田式プリント』と併用して他の教材を使う方がよい